弁護士も再確認したい!事務局が実務で「誤解されがちな法律用語」を解説!

弁護士も再確認したい!事務局が実務で「誤解されがちな法律用語」を解説! 弁護士も再確認したい!事務局が実務で「誤解されがちな法律用語」を解説!
最終更新日:2026年01月29日

はじめに

法律事務所で実務を行う中で、日常用語としての意味に引きずられたり、慣用的な表現として曖昧に使用してしまう「誤解されがちな用語」に触れる機会が多くあると思います。
法律事務所で扱われる文書や、クライアントへの説明において、用語の微妙なニュアンスの違いが大きな法的効果の差異を生むことがあります。
そのため「誤解されがちな用語」を正確に使い分けることで、契約書の不備を防ぎ、クライアントに対して正確なリスク説明を行う上で不可欠です。

本コラムでは、特に誤解や混同が生じやすい法律用語について、その法的性質の違いを深掘りして解説します。

1. 契約の終わり方:「解除」と「解約」の決定的違い

「解除」と「解約」は日常会話ではどちらも「契約をやめること」として同義に使われがちですが、民法上、効果が発生する「時点」が異なります。
特に違約金の計算や原状回復義務の範囲に関わるため、契約書ドラフト作成時に最も注意が必要となります。
用語 法的効果の方向 意味 適用例
解除
(かいじょ)
遡及効
(そきゅうこう)
契約当初にさかのぼって、契約が「なかったこと」になる。 売買契約における債務不履行解除など。
受け取った金銭は利息を付けて返し、物は原状に戻す義務が生じる。
解約
(かいやく)
将来効
(しょうらいこう)
契約の効力を「将来に向かって」のみ消滅させる。過去の分は有効のまま。 賃貸借契約、雇用契約、委任契約など、継続的な契約関係を終了させる場合。
「解除」という言葉を使っていても、実質が「解約(告知)」であるケースも多い。
※民法改正により、継続的契約における解除については遡及効を制限する規定も整備されていますが、概念上の区別としては上記が基本となります。

2. 名前の書き方:「署名」と「記名」の法的効力と押印の関係

契約書の末尾における署名欄の扱いです。「サイン」と「ハンコ」の関係性は、民事訴訟法第228条(文書の成立)に関わる重要な論点です。
用語 方法 押印の必要性 証拠力(二段の推定)
署名
(しょめい)
自筆で氏名を書くこと 原則不要
(あるとより良い)
最強。筆跡鑑定等により本人の意思確認が容易であり、署名のみで文書の真正な成立が推定される。
記名
(きめい)
ゴム印、印刷、代筆などで氏名を記すこと 必須
(押印)
弱い。記名単独では法的効力を持たないに等しい。必ず「押印」とセット(記名押印)にすることで、署名と同等の効力を持たせる。
実務上、「署名捺印」という言葉が使われますが、正確には「署名」があれば捺印は法的には必須条件ではありません(商慣習として求められることが多い)。
一方、「記名」の場合は捺印がなければ単なる印刷物扱いとなり、証拠価値が著しく下がります。

3. お金の性質:「賠償」と「補償」の境界線

クライアントから「損害のホショウを求めたい」と相談を受けた際、それが「賠償」なのか「補償」なのかによって、根拠となる法律構成や要件が全く異なります。
用語 原因となる
行為の性質
意味 具体例
賠償
(ばいしょう)
違法行為 違法な行為(債務不履行や不法行為)によって生じた損害を埋め合わせること。 交通事故の損害賠償、契約違反による損害賠償。相手に「非(過失等)」があることが前提。
補償
(ほしょう)
適法行為 適法な行為によって生じた損失を、公平の観点から埋め合わせること。 土地収用に伴う損失補償、労働災害補償(使用者に過失がなくても支払われる)。相手に「非」がなくても支払われるもの。
「賠償」は相手を責めるニュアンスを含みますが、「補償」はマイナスをゼロに戻す穴埋めのニュアンスが強く、相手の違法性を問いません。

4. ペナルティの種類:「科料」と「過料」の読みと中身

読み方が同じ「かりょう」であるため、口頭での説明時に最も誤解を生みやすい用語ペアです。
法律事務所では、文脈に応じて「とがのかりょう(科料)」「あやまちのかりょう(過料)」と呼び分けることがあります。
用語 読み分け
(通称)
法的性質 前科の有無 具体例
科料 とがりょう 刑罰(財産刑) つく 軽犯罪法違反、侮辱罪など。1,000円以上1万円未満の金銭納付。
刑法に規定がある。
過料 あやまちりょう 行政罰・秩序罰 つかない 路上喫煙禁止条例違反、法人の役員変更登記懈怠(けたい)など。
行政上の義務違反に対する金銭納付。
特に、企業法務において「登記を忘れていた場合」に来る通知は「過料(行政罰)」であり、前科にはなりません。この点をクライアントに安心材料として正しく伝えることが重要です。

まとめ

法律用語の誤解は、契約書の効力を弱めたり、クライアントに不要な不安を与えたりする原因となります。
「解約」と書くべきところを「解除」と書いていないか、「補償」で済む話を「賠償」としていないか。
一つ一つの言葉の定義(法的要件と効果)に立ち返り、精緻な言葉選びをすることが、法律専門職としての信頼を築く礎となります。

本コラムで挙げた用語は実務で頻出するものばかりですので、ぜひ日々のドキュメント作成やチェックの際にお役立てください。

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