法律事務所で働く事務職員が知っておくべき
民事裁判手続と訴訟の用語まとめ


最終更新日:2025年07月04日
はじめに
法律事務所で働き始めると、聞き慣れない専門用語が日々の業務に登場します。
特に民事訴訟や家事事件、行政事件など、裁判所を舞台に進行する手続に関する知識は、スムーズな事務対応や弁護士との連携の鍵となります。
本記事では、民事裁判手続や訴訟に関係する基本的な用語や流れを分かりやすく解説します。
特に民事訴訟や家事事件、行政事件など、裁判所を舞台に進行する手続に関する知識は、スムーズな事務対応や弁護士との連携の鍵となります。
本記事では、民事裁判手続や訴訟に関係する基本的な用語や流れを分かりやすく解説します。
目次
- ・裁判の登場人物
- -①原告(げんこく)
- -②被告(ひこく)
- -③申立人(もうしたてにん)
- -④相手方(あいてがた)
- ・裁判の進行と期日
- -①口頭弁論期日(こうとうべんろんきじつ)
- -②第1回口頭弁論期日(だいいっかいこうとうべんろんきじつ)
- -③擬制陳述(ぎせいちんじゅつ)
- -④弁論準備手続期日(べんろんじゅんびてつづききじつ)
- -⑤判決言渡期日(はんけついいわたしきじつ)
- -⑥和解期日(わかいきじつ)
- ・裁判所に提出する書類
- -①訴状(そじょう)
- -②訴訟委任状(そしょういにんじょう)
- -③答弁書(とうべんしょ)
- -④準備書面(じゅんびしょめん)
- -⑤上申書(じょうしんしょ)
- ・判決と不服申立て
- -①控訴(こうそ)
- -②上告(じょうこく)
- -③反訴(はんそ)
- ・まとめ
裁判の登場人物
まずは裁判に登場する人物の名称から抑えましょう。
1
原告(げんこく)
民事訴訟手続において訴訟を起こす側の当事者です。
例)
「貸したお金が返ってこない」として貸主が裁判所に訴えると、この貸主が原告となります。
2
被告(ひこく)
民事訴訟手続において訴えられる側の当事者です。
例)
「貸したお金が返ってこない」として貸主が裁判所に訴えると、この借主が被告となります。
3
申立人(もうしたてにん)
調停や家事事件などの手続で使われる言い方で、原告とほぼ同義です。
4
相手方(あいてがた)
申立人が手続を起こす相手です。家事事件では「夫(申立人)vs 妻(相手方)」などと表記されます。
裁判の進行と期日
裁判上の手続を行う日を「期日(きじつ)」と呼びます。裁判は1回で終わることはほとんどなく、何度も裁判所に行く必要があります。
1
口頭弁論期日(こうとうべんろんきじつ)
民事裁判で当事者が法廷において主張を述べるために開く期日のことです。一般的にイメージされる裁判官が高いところに座り、弁護士や当事者が向かい合って、主張をし合うドラマなどで見かけるものです。単に弁論期日ということもあります。
2
第1回口頭弁論期日(だいいっかいこうとうべんろんきじつ)
訴状提出後、裁判所が設定する最初の裁判期日です。裁判所が原告の都合を聞いて決定します。
ここで被告が出廷しなければ、原告勝訴の判決が出る可能性があります。「擬制陳述(ぎせいちんじゅつ)」という制度を活用すれば、出廷しなくても原告勝訴の判決は出ません。第1回期日ということもあります。
ここで被告が出廷しなければ、原告勝訴の判決が出る可能性があります。「擬制陳述(ぎせいちんじゅつ)」という制度を活用すれば、出廷しなくても原告勝訴の判決は出ません。第1回期日ということもあります。
3
擬制陳述(ぎせいちんじゅつ)
被告が欠席した場合に、陳述したことにする手続きのことです。第1回口頭弁論期日は原告側と裁判所の都合のみで調整されるため、被告側にとっては出廷できない日時であることもよくあります。
4
弁論準備手続期日(べんろんじゅんびてつづききじつ)
裁判所が争点と証拠を整理するために開く期日のことです。公開の法廷ではない、会議室のような部屋で、裁判官と弁護士、当事者が、1つのテーブルを囲み、裁判の手続を進めるものです。
5
判決言渡期日(はんけついいわたしきじつ)
審理が終わった後、裁判所が結論(判決)を示す期日です。
6
和解期日(わかいきじつ)
当事者の話し合いによって解決を目指すための期日のことです。
裁判所に提出する書類
裁判ではさまざまな書類を提出します。種類と役割を理解しておくと、書類整理やファイリングの際に役立ちます。
1
訴状(そじょう)
裁判を起こすときに提出する最初の書類で、請求の趣旨と理由が記載されます。
2
訴訟委任状(そしょういにんじょう)
依頼者が弁護士に訴訟を委任する際に作成する書面です。訴状などに添付して提出されます。
3
答弁書(とうべんしょ)
被告が最初に提出する書面のことです。訴状の内容に対して反論するために提出する書類です。
4
準備書面(じゅんびしょめん)
訴状・答弁書の提出後、さらに主張を補足・整理するための書面です。何度もやり取りされることが一般的です。
5
上申書(じょうしんしょ)
手続に関して裁判所に申し出をする際の書面です。たとえば「期日変更のお願い」など、主に事務的な事項を記載します。
判決と不服申立て
裁判所の判断に納得できない場合は「不服申立て」が可能です。
1
控訴(こうそ)
第1審判決に対する不服申立て。簡易裁判所→地裁、地裁→高裁というふうに上の裁判所へ申し立てます。
2
上告(じょうこく)
控訴審判決に対する不服申立てで、最終的には最高裁判所が判断します。
3
反訴(はんそ)
被告が、原告に対して別の請求を同じ裁判内で行うことです。たとえば「貸したお金を返して」と訴えられた被告が、「いや、それは代金未払いがあるから相殺だ」として反訴をすることがあります。
まとめ
裁判手続に関する用語は非常に多く、はじめは混乱するかもしれません。しかし、それぞれの言葉がどのような場面で使われ、どんな意味を持っているのかを理解すれば、業務の見通しが格段に良くなります。
本記事が、法律事務所で働くあなたにとって、実務に役立つ「ことばの地図」になることを願っています。必要に応じて、ファイルやマニュアルに本記事の用語一覧を印刷して貼っておくと、実務中の参照にも便利です。
本記事が、法律事務所で働くあなたにとって、実務に役立つ「ことばの地図」になることを願っています。必要に応じて、ファイルやマニュアルに本記事の用語一覧を印刷して貼っておくと、実務中の参照にも便利です。
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